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2011年、新端末発表も無く迎えた夏
やっと発表された端末が音声のみのWX01UT、発売直後に即不具合で発売中止のおまけつきだった
ファンサイトに溢れるユーザーのため息、どこからか聞こえる「ウィルコム終わったな」の声
無言で他者端末情報サイトを見始めるユーザー達の中、内川は一人泣いていた
WX310シリーズで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より未来を見れる会社・・・
それを今のウィルコムで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」内川は悔し涙を流し続けた

どれくらい経ったろうか、内川ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいPCの液晶の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、部屋に帰って京ぽん2を磨かなきゃな」内川は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、内川はふと気付いた

「あれ・・・?書き込みが大量に・・・?」
サイトを更新した内川が目にしたのは、ページに記載しきれないほどの新端末だった
目がちかちかするほどに点滅する文字、カラフルな表示に、上がってくるJavaScriptの花火
どういうことか分からずに呆然とする内川の目に、何度も夢見た端末名が見えてきた
「京ぽん3」・・「た・・typeGにOpera10.2、神石、WVGA!?」
「Advanced W-ZERO3[es] NEXT」・・・「て・・・テンキー+キーボードが帰って・・・」
「次世代端末シリーズ」・・・「え・・・XGP」
「8xW-SIMと、新ジャケット群」・・・「お・・・お財布搭載W-SIM端末」
暫時、唖然としていた内川だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ!」
既につながりにくくなっているウィルコムストアに、猛然とF5する内川、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、PC前で冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った

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